このひと月ほどの間で、「オリエント急行殺人事件」と「ナイル殺 .. >(続きを読む)
このひと月ほどの間で、「オリエント急行殺人事件」と「ナイル殺人事件」を続けて観た。
両作品とも、アガサ・クリスティが生み出した名探偵エルキュール・ポワロが登場するミステリー映画の秀作だった。
ただし、両作品共においてどうしても物足りない点があった。
それは、ポワロの存在感が“薄い”と感じたことだ。
「オリエント急行殺人事件」も「ナイル殺人事件」も原作はアガサ・クリスティのエルキュール・ポワロシリーズの代表作なのだろうと思う。
それだけ描かれる事件の内容には深い面白味があり、だからこそ映画化もされたのだろう。
ただ「事件」そのものがあまりに魅力に溢れている分、その場に居合わせた”名探偵”に魅力が感じられなかった。
“名探偵”は、起こってしまった事件の顛末を追うための”狂言回し”的な印象が強かった。
そして、二つの映画作品の“ポワロ”に魅力を感じられなかった最大の理由は、彼を演じる俳優がデヴィッド・スーシェでは無かったことだ。映画作品でポワロを演じたアルバート・フィニー、ピーター・ユスティノフという2人の名優の演技が悪かったというわけでは決してない。
が、テレビシリーズで「名探偵ポワロ」シリーズを見慣れていた者にとっては、英国人俳優デヴィッド・スーシェの演じるポワロこそがエルキュール・ポワロであり、更に言えば日本語吹替え版を担当し続けている熊倉一雄の声で、事件を解き明かしていく様にこそ、安心感にも似た爽快感を得られるのだ。
と、大部分が映画作品の評になってしまったが、相当久しぶりに観たデヴィッド・スーシェ版ポワロのテレビ映画に大変満足したという話。