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緊張感が滲み出ている前半も良いが、やはり何と言っても日本映画史に残るラストの死闘である。「今の時代、白刃で立ち会うことなど無い」なんて台詞、東映の時代劇では聞いた事無い。この「十三人の刺客」は東映時代劇の特徴であり、またどれも似通っていた踊りのような殺陣を廃し、黒澤映画にも匹敵するリアルで壮絶な戦いを魅せてくれる。それでいて画面に千恵蔵さんが映れば、東映時代劇伝統の重厚な空気が流れる。そう、この作品はリアリズムと様式化された動きのブレンド具合が絶妙なのだ。 命を投げ打って戦う刺客たちもいいが、馬鹿な殿様を守る内田良平さん演ずる鬼頭半兵衛が抜群にカッコいい。彼だって殿の無能さには気付いており、それを守る事が世の中にとってマイナスばかりだとは分かっているはずである。それでも自分の意思を捨て、主君のために命を投げ出すのが侍という存在。彼の背中に悲しき武士道を見た。[良:2票]