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初監督作品「ジュブナイル」で内容の評価よりもヴィジュアルエフェクトで注目された
山崎貴の「リターナー」に次ぐ映画監督作品第三弾は、これまでのSF路線から一変し、
昭和中期の下町人情を描いたコミックの実写映画化。
得意のVFXを最大限に駆使し、昭和の町並みをファンタジックに現出させている。
極めてキメの細かい映像シチュエーションやカメラワークが随所に見られ、
映像技術的には文句なしだ。
子供の飛ばした模型飛行機を追うようにカメラが移動し、昭和の町並み、そしてタイトル
という見せ方。
飛ばしたCGをカメラが追うという見せ方としては、ゼメキスの「フォレストガンプ」でのオープニングの”羽”の手法を想起させる。
どことは言わないが、微妙な一瞬をスローモーションに切り替えて、表現にインパクトを
与える手法。
鈴木家にやって来たテレビで力道山の試合に見入る三丁目の面々をリング観客と同化させる表現方法。…と挙げて行けばキリがない。
ストーリーテリングとしても三丁目の面々のコネタをうまく絡めては、まとまりのある編集を行って帰結させて行く。
それをクッキリと引き締めているのが流れのチャプターアクセントとして使われている東京タワー。
そして六子と汽車がトップラインとボトムラインを構成しているのだ。
「指輪」も悪くないが、「お守り」のエピソードや「六子の親」のエピソードあたりでホロっと来る。淳之介へのプレゼントのエピソードも良い。
難を言えば、サンタクロースのネタ晴らしがあるため、子供には見せられない作品という点か。
ところで「茶川竜之介と古行淳之介」って「芥川龍之介と吉行淳之介」の文学作家ネタなんですね。[良:1票]