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<ネタバレ>あの劇場中が沸きに沸いた『ムトゥ 踊るマハラジャ』の日本公開から14年、「スーパースター ラジニ」の看板もCGバリバリになって随分と進歩したねぇ、と笑ったのも束の間、なんだか残念な気持ちばかりが出てきてしまい。デジタル技術の進歩はインド映画にもしっかりと焼き付いていて。シャープな映像と駆使されるCGI&デジタル合成、バキバキのデジタル音声。でも、あの楽しかった『ムトゥ』のノリはほとんど見当たらなくなってしまって。既にCGが特殊視覚効果の主流となっていた前世紀末、この映画と『スパイス・ザ・ムービー』の二大ジャンプ映像はそのあまりの独自性が輝きを放っていた訳ですが、現代のテクノロジーは映像を横一線に並べてしまい、結果として地域や民族による独自性をかなり薄めてしまっているように思います。あちこち雑だった『ムトゥ』に比べると、とてもマトモなんですが、ハリウッド的フツーさになる事が求められているのだとすると、それは淋しいとしか言い様がない訳で。クライマックスのロボット軍団の暴走など楽しませて貰えますし、ラストのメッセージは感動的だったりもします。でも、それは別にどこの国のどの民族でも作れるモノな訳なんですよね。邦画にしてもそうなのですが昔から脈打つ民族の血が映像から失われるのは切ない、って思うのはエゴなんでしょうかねぇ。もっとも、調べたところによると日本公開版はオリジナル版から40分近くカットされダンスシーンが2曲削除されているとの事。ダンスシーンこそ、その個性的魅力の最大要素なのですから、映画の魂を削ってしまった不粋なカットバージョンでキチンとした評価が下せるのかどうかは甚だ疑問ではあります。物語はむしろありきたりなのですから、そここそをちゃんと見せるべきだったと思うんですけれど。