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<ネタバレ> 『ムーミン』にそれなりに思い入れがないとキツいかな。色彩はキレイですけれど、目を見張るような映像表現とか、綿密に構成された物語がある訳ではなくて、ただ『ムーミン』のキャラ達がその時間を過ごしてゆくだけの映画で。
しかも、お馴染みの主なメンバーはムーミン一家、フローレン、ミイのみ。スナフキンとミムラ姉さんの出番がちょこっと、それ以外はゲストキャラばかり。
更にミムラ姉さんとミイはムーミン達と今回初対面という設定。意外と敷居高くないか?みたいな。
高級リゾートに紛れ込んだ純朴なムーミン一家が、上流階級の人々(?)と触れあい、摩擦を起こし、影響を与え、そして村に帰ってゆくという流れにシニカルさを多分に織り込んでいますが、それがあまり笑いには繋がらないところが、ちょっとキビシイ感じで。
フローレンのカジノでの稼ぎが簡単な解決に繋がっていて、色々な人々とのエピソードの積み重ねによって物語が高まってゆくような事はなく。せいぜい芸術家の彫刻のエピソードが流れを持っているくらいで。もっとも、そういう物語性を求め過ぎていないあたりが「らしい」のかもしれませんが。
普段丸出しな状態なのに体をハンパに隠すものを身にまとう事で逆にいやらしくなってしまうってあたりはヨーロッパ的笑いの世界と考えていいのでしょうか?
ムーミンがご機嫌ナナメな状態が結構あって、主役なのにどうも冴えない感じだったのが作品全体のトーンを落としている気もしました。
きっとこれは身構えて見る作品ではなくて、なんとなく流れてゆく、なんとなく綴られてゆく世界をゆったりと眺めるようなアニメーションなのでしょうね。こちらは気合入れ過ぎて勝手に肩透かし食らった、みたいな状態でしたが。その「色」を読むのもまた大切。私はまだまだ未熟者。