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<ネタバレ> ウィル・スミスの抜け殻演技は、なんかやる気無さそうにも見えちゃって、主役なのに薄~い感じに思えてしまうのが残念。でも、エドワード・ノートン、ケイト・ウィンスレット、マイケル・ペーニャ、ヘレン・ミレン、キーラ・ナイトレイって主役クラスな人々がそれぞれにいい味を見せているので、その多彩さを楽しめます。
さて、物語は予告編から予想したものとは違って、最初から種明かしをした上で進行してゆきます。娘を亡くして生きる気力を無くしてしまった男の前に、周囲が(彼を思って、と言うより会社の存続のために)舞台役者を使って「死」と「愛」と「時」を登場させる、って(『クリスマス・キャロル』が元ネタなのは明らかですね)。あのリアクション薄いウィル・スミス相手にそれで面白い物語が進行するのかいなぁ?って感じではありましたが。
これが、実はウィル・スミスだけの話ではなくて、その仕掛けた側の人達それぞれの話でもある、って広がりが見えてくると共に映画に奥行きが出て、興味深く見る事ができました。そして、「もしかしたら」という更なる予想が生じて、こうあって欲しいと思った結末、その通りのラストを迎える事で心が満たされて。
決して幸せな映画ではありません。それぞれがそれぞれのハッピーエンドを迎えてめでたしめでたしになる、そういうほんわかしたノリにはならないのは、娘を亡くした男って起点からしても明らかで。停滞していたそれぞれの苦悩、葛藤が「死」と「愛」と「時」の登場によって動いてゆく、そのさまが感動を呼びます。1つにはまとまらない、それぞれ散り散りな進行ゆえに大きな感動のうねりって訳にはいかないのが難点ではありますが。
でも、『素晴らしき哉、人生』は「人生は素晴らしい」って映画ですが、この作品は「人生ってたいへん」って映画なわけで、決して「素晴らしきかな、人生」って話ではないと思います。邦題を付けた人はこの映画のどこを見て素晴らしい人生を感じ取ったのかなぁ?