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これは小津としてはストーリーを語る事にもう精一杯状態の失敗作だと思う。なにより高峰秀子という女優が小津映画向きでない事が一番のマイナスポイント。実際木下、成瀬映画での彼女の自然体名演技を観慣れた方なら、いかにこの映画の窮屈な画面の中、無理矢理な「小手先芝居」をさせられているかわかるはず。映画のメインテーマとなっている「何が古いもので何が新しいものか」という議論云々より、言わなければいけない事を腹の中にためているだけの姉と、思った事をズバズバすぐ口に出して周囲を困惑させる妹、それぞれの性格設定自体にそもそも問題あり。笠智衆の父親が不治の病という設定もなんだが意味ないような感じ。えへらえへらと薄ら笑いを浮かべているだけのモテモテ上原謙より、無職のプータローだがどっしり構えている山村聡のほうがよっぽど魅力的。しかし格調高い小津映画で必殺七連発平手乱れ打ちを観られるとは思ってもみなかったよなあ。[良:1票]