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<ネタバレ> 明治時代の庶民、富豪、貧乏インテリの家庭の様子が垣間見られたようで、あの独特の空気が印象的でした。蛍光灯がない時代の家って、やっぱり今と比べれば薄暗く感じられるものですね。それにしても、東風さんの考案した「俳劇」の劇中劇が笑えました。高浜虚子のある俳句が出来るまでだけ (!) の超短編一幕ものにも関わらず、舞台に柳の木を植え、そこに生きたカラスを縛り付け、おまけに裸の美女 (既に、イメージは苦沙弥先生の姪・雪江さんで決定済み) に行水させるというセット。そこへ、何故か花道から、寒月さん扮する高浜虚子が飄々と登場、舞台の全景を見渡し、感嘆の声を漏らして「行水の 女に惚れる 烏かな」という句を読んで、おしまい (笑) ほんとにこれを全部見せてくれるという市川監督の発想にも、笑えました。
あと、三波伸介さん演ずる高利貸の滑稽な尊大ぶり、そして終盤で大臣候補から降ろされ、落胆して一転してのコミカルな物腰:「 (溜息) 煙草もない… (湯呑みの蓋を取り、口元へ持って行って初めて空っぽなのに気付き、無言で凝視してから) …お茶もない。ナンニモない」――まさに喜劇役者でしたね。