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<ネタバレ>名曲「暗い日曜日」まつわるエピソードは聞いたことがありましたが、
その曲をモチーフにした、こんなストーリーがあったとは・・・。
あまりにも美しい1人の女と3人の男。それぞれの人物像と、彼らの心の配置が見事という他に無い。
戦争の時代を描いたドイツの映画特有の重さはあるのですが、
「暗い日曜日」の旋律の如く美しく悲しく、そしてエロティックでサスペンスフルで、何と上品な映画か。
3人の男のうち2人は戦争中に命を落とす。しかし、イロナには新しい命が宿っている。
ラストで作品は冒頭に続く現代に戻る。60年の時を経ての3人目の死。あの店で、あの曲が流れている中で・・・。
店の奥で息子が母の誕生日を祝っている。洪水の後も、彼女は洪水を忘れることなく力強く生き抜いたのであろう。
とても静かですが、重みを感じさせるラスト。そして常に死を感じさせる作品でありながら、
鑑賞後の後味は上質のワインでも味わった後のような余韻が残ります。