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<ネタバレ>高校入試まであと1か月を切った主人公の中学生がひょんなことから誘拐されてしまう。
誘拐犯家族との奇妙な交流を描いたゆる~い空気が漂う犯罪コメディ。
こういう映画は、犯罪者側も間が抜けていて登場する誰もが憎めないというのがお約束なのですが、
少年が受験生だと分かると、「受験生とは知らなかった。悪かったな。勉強して立派な人間になれ。」と、
妹が使っていた参考書を引っ張り出してきたり、分からない問題があれば村の先生に質問に行ってやったり、
誘拐犯家族と一緒に海水浴や漁に行ったりと、とても誘拐モノとは思えないほのぼのとした笑いがあります。
その一方で、誘拐される前にはテストの点が悪かったり、授業中に当てられて問題が解けないと、
容赦なく木の棒のようなものでぶっ叩く教師や、家でも成績が上がらないことを両親に詰められたり。
受験を控えた少年の日々には閉塞感が漂い、誘拐されるまではコメディ要素もほぼ無く、誘拐後の空気とは対照的で、
勉強したくても兄に退学させられ工場で働かされた誘拐犯一家の娘の最後の手紙が印象的。
誘拐事件もまた緩すぎるほどの解決でしたが、登場する人物それぞれの境遇や立ち位置を通して
緩さの中にも受験というものの在り方や家族や人生について考えさせられるものがある犯罪コメディの佳作です。