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<ネタバレ>故人そっくりな他人(俳優?)を選び出し、遺族のもとに派遣して生前の記憶に浸ってもらうことで心を癒す。何だか本当にありそうに思えないこともないビジネス(ホントにあったら相当アヤシイかも)の物語。
愛息を失った母親はやり切れない悲しみからそのプログラムを契約します。父親は母親とは少しばかり異なる感情を抱いていて、そんなプログラムは何だか胡散臭いと思っている。父親と母親の息子に対する感情が違うというのは当然だと思いますが、この家族には明確には説明されない事情もあるようですから尚更ですね。
派遣されてきた愛息似の青年を母親は自らを説得するかの如く努めて平静に受け入れます。一方父親は露骨に不信感を表します。これも流れからして当然のことだと思います。
しかし、父親と青年が二人きりになった時に青年が発した言葉は、父親にしてみればその青年が絶対に知り得ない内容。父親の頑なな感情が崩れ始めます。父親だってもう一度愛息に会いたかったに違いありません。もしかしたら、ある意味母親以上に会いたかったのかも。しかし過去の何らかの事情が彼の感情を抑制してしまっていた。
結局、あの青年は誰だったのでしょうか?愛息似の俳優の巧みな演技?事務所の徹底した情報収集?そんな訳はないですね。
もしかしたら父親の潜在的な願望が青年の登場によって溢れ出し、彼に幻を見聞きさせていたのかも知れません。しかし、どうであれ父親の感情を覆っていたものが剥がれ落ちたという事実だけは不変でしょう。
子を持つ親として大いに感動した佳作でした。