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<ネタバレ>不思議な映画。もちろん前のほうでも仰られているように差別を逆手にとった感動を狙った作品のひとつに違いはないのだろうが、何故かその手の作品にアリがちな「白人の自己欺瞞への反吐が出るような嫌悪感」は少ない気がする。思うに、主役たる白人のショー大佐があまりにも幼く情けない存在であることが功を奏したということなのだろう。
かつての戦闘の凄まじさにトラウマを抱えて正直いっぱいいっぱいなのに、昇進というエサにもつられ難しい立場である黒人部隊の指揮官となってしまった彼。その彼が黒人の兵士に対しどのような感情を抱いていたのか、また兵士たちが指揮官たる彼にどの程度の信頼や尊敬の念を抱いていたのか?この映画はそれについてほとんど語らず、大仰な「対立」やそれを乗り越える「感動的和解」もない。ただただおのおのが自分の役目を果たすのに全力を注ぐ、それが勝利につながり、解放につながり、贖罪にもつながるという事実を客観的に描くのみ。
結局、黒人の解放とは一部の良心的な白人達の共感や改心なんぞによって成されるものでは決してないということ。つまり、被差別者である黒人(を含める有色人種すべて)も差別者である白人も、真の意味では「対等な存在」以外にはなりえないという事実、本作はそれをストレートに描いた佳作であろう。
余談だが、上から見下ろすような余裕ある視線が一切ないせいか、個人的にはマシュー・ブロデリック演じる戸惑いの「坊っちゃん大佐」には非常に好感をもってしまった。「おばちゃん」さんのいわれるように、このナイス・キャスティングに感謝!