<ネタバレ>……そもそも芸術などまるで意に介さない男ヴィースラーが、ドラ .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>……そもそも芸術などまるで意に介さない男ヴィースラーが、ドライマンとクリスタの生活を監視し盗聴することにより、彼らの信望する芸術に触れ、その何たるかを知り、深く突き動かされ、その感動が彼の信念である国家への忠誠心を覆すほどにも大きく波打っていく……それがこの映画の根幹なのだと思っていた。
つまり、その感動が私たち観客にも与えられてこそ、この作品は成立し得るのである、と。
それが、問題のソナタはちょっろと弾かれるのみ、熱情ソナタへのレーニンの言葉でお茶を濁されるだけ。なんなんだ?
邦題とはいえタイトルが「善き人のためのソナタ」となっているからには、
少なくともそのソナタをもっとじっくり聴かせてもらいたいものだった。
それを聴かせないということは、もともとこのソナタには大した役割は託されていなかったということなのか?
(じゃあ、ヴィースラーは何に感動したのだ?
ドライマンたちの愛の深さ?演劇という芸術にかける彼らの情熱?
しかし、どれをとってみてもどうもイマひとつ、残念ながら説得力のある要素はどこにもない。)
いずれにせよ、
このソナタがそれほどのファクターでないというのは確かなことなのだから、
何人かのレビュアー諸兄が仰られるようにこのもったいつけた邦題の罪は重い。
そんなわけで、本来は4点あたりが相当するところだが、ラストの「私のための本だ」というセリフに+2点しての6点を献上。
逆に言うなら、このセリフ以外に観るべきものはほとんどない映画と言っていいだろう。[良:1票]