<ネタバレ>この寡黙さはもう映画の鑑ですな。冒頭の事件からして、空調から .. >(続きを読む)
<ネタバレ>この寡黙さはもう映画の鑑ですな。冒頭の事件からして、空調から垂れる水滴、間を置いて鳴るケータイ、そして不意の凶行、と無駄な声が一切なく、演出も、アクションとしてもコメディとしても、押すところと外すところのリズム感がいい。ゆったりと自転車小僧が現われてくるあたりの外しかたのうまさね。二つのヤクザの対立に、そそっかしい刑事が絡むってだけがこの映画の基本設定で、いちおう捜査側にもそれぞれ欠点を与えたりはしているが、別に人間に深入りはしない。その分、主役は香港の夜そのものになった。けっきょくこの映画では、ずっと夜を味わっていたような気がする。一晩の物語ならたいていラストは朝と決まっているのに、そうしない。朝が来るのがもったいないような夜だったからだろう。これであと音楽がもうちょっと寡黙にしてくれてたら申し分ない。