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イタリアのこの時代の作品は大好きなので、一つでも多く観ておきたいところだが、中でもこのヴァレリオ・ズルリーニの代表作の一つともいえる『鞄を持った女』は絶対に観てみたかった作品の一つだった。
主演は、“C・C”ことクラウディア・カルディナーレ。
ヴィスコンティ作品で一度観たことのある大女優さんだけど、彼女の代表作といわれるものを観るのは、これが初めて。
そして、監督のヴァレリオ・ズルリーニだが、彼の作品を観るのは『家族日誌』に次いで2作品目。
『家族日誌』はイマイチだっただけに、本作には大きな期待をしていなかったけど、その期待をいい意味で裏切って、十二分に楽しむことができた。
これをきっかけにして、ズルリーニにハマりそうな予感。
なんともいえない、文学的でもの悲しい雰囲気の作品を創る素晴らしい監督だなぁ、と今回見直したわけだ。
ジャック・ペラン演じる16歳の青い青年と、カルディナーレ演じる豊満な大人の女性との、淡くも切ないラブ・ストーリー。
ラブ・ストーリーとはいっても、少年の片想い的な状況なのだが、これが内気な少年の立場から丁寧に描かれており、なかなか引き込まれる。
どうみても不釣合いな二人。
不釣合いどころか、恋が成就する状態になり得ないくらいのギャップがある。
自分も過去に背伸びして、「じゃあ仮に付き合ったとしてどうなるの?」的な女性にゾッコン(笑)だった時代があるだけに、観ていてどうしようもなく辛かった。
逆に、口がうまくて社交的な男や、女性の立場から観たら、どれだけ少年に感情移入できるだろうか。
そういう意味では、観る人を選ぶ作品。
そして、口ベタなクセに何故か、快活で大人な女性に恋をしてしまいがちな男性諸氏には、必ずやハマれる作品ではないだろうか。
ハマり過ぎて、過去の辛い想い出に涙しないように要注意。