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<ネタバレ>作品の冒頭、古き日の赤坂の俯瞰図と、実写による遠景が出てくる。
今となっては決してみることのできない赤坂の風景。
国会議事堂がそびえ立ち、赤坂の街を見下ろしている。
その向こうには東京タワー。
赤坂がいかに面白く、混沌とした街だったかを偲ぶことができる貴重なワンシーンだ。
赤坂が政治家たちの夜遊びの社交場として栄え、そこには他の地域には決して見られない独自の風俗が息づいている。
平成の世となっては、その面影は残すものの、ビルが乱立するばかりで、麻布などと同様、この作品で見ることのできる風情や風景は絶滅してしまっているのだ。
そういった当時の貴重な東京風俗をフィルムに残したという点において、同じく川島雄三監督の『洲崎パラダイス 赤信号』と並び、極めて貴重な作品と言える。
本作は、東京で生まれ育ち、且つ都心部のこういった地域風俗に興味がある人が観ることによって、その魅力を初めて感じ取れる作品なのかもしれない。
ところが、私は淡島千景という女優に、女としての魅力を全く感じないので、淡島千景に翻弄される政治家たちの心情というものに全く共感できなかった。
川島雄三監督作品ならではの、個性あふれるオープニングクレジットは本作でも健在で楽しむことができた。
特に、最後の最後で、でかでかと「フランキー堺」の文字。
この演出にはしびれたし、フランキー堺がさぞかし活躍するのでは?という期待も高まった。
しかし、フランキー堺はそれほどの見せ場もなくブラジルに行ってしまった。
これにはとても不満を感じた。
もっとフランキー堺を暴れまわらせてほしかったのに・・・