これは凄い。
壮絶なドキュメンタリー。
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これは凄い。
壮絶なドキュメンタリー。
1970年代。
社会の底辺で必死にもがき、日々を死と隣り合わせで生きる日雇い労働者たちの姿。
そこにあるのは、ひたすら過酷な日常である。
日本全国から横浜・寿町に集まってきた人達。
それらの人々は、誰しもが暗い過去を背負い、心の傷、体の傷を背負って生きている。
全国をさまよい、やがて行き着く場所が寿町だったのだ。
33年前の作品だったので、寿町が今もなお同じ姿を留めているのか非常に興味が湧き、映画館を出た後、一路寿町へと私は向かった。
なんとそこには、今も変わらぬ日雇い労働者の町が存在していた。
このような町が存続していること自体は、社会的にみて決して好ましいことではない。
しかし、私は寿町というドヤ街が今もなお存在していることに、正直、安堵してしまった。
関東では、山谷のドヤ街が実質的に消滅しかけてる今、生ける負の文化遺産として貴重な存在である。
ただ、このままであってはならない。
このような町は早く消滅すべきである。
そういった言わば自分の中の正義と、いつまでも負の文化遺産として姿を留めておいてもらいたいという自分勝手で興味本位な悪の心とが、自分の中で併存しているのだ。
このように、“ドヤ街”寿町は、私の心の奥底を揺さぶるのだ。
自分をそういった気持ちにさせ、寿町という町の存在を知らしめた、この貴重なる力作ドキュメンタリーに拍手を送りたい。
そして、早くして亡くなった数知れない寿町日雇い労働者の人達のご冥福を心より祈りたい。