<ネタバレ>70年代の日本映画には独特の味わいというか、個性がある。
.. >(続きを読む)
<ネタバレ>70年代の日本映画には独特の味わいというか、個性がある。
おそらく時代を反映しただけで、意図的に演出されたものではない。
だけど、70年代の日本映画には、それ以前の日本映画全盛期にもなく、その後の洗練された21世紀にもない、稀有な個性的魅力を感ずる。
本作は、まさにその時代的魅力が発揮されている作品である。
風来坊の男女3人が、あてのない生活をしている。
おそろしくけだるく、そして将来性のない生活。
お互いの詳しい素性も知らない。
この設定がまた、70年代の日本映画っぽくて良い。
悪役たる会社の重役たち。
この人たちも、ステレオタイプ的な面白さがある。
フェンダーミラーの社用車に乗り、高そうなスーツを身にまとい、悪だくみをしている。
そして喧嘩になると、途端に弱い。
こいつらに暴力をふるう原田芳雄が、またかっこいい。
ストーリーは大したものではなく、ラストの破綻的なオチも何だか物足りない。
でも仕方ない。
70年代の、この系統の日本映画の中身なんて、大体こんなもんだ。
本作を観ていると、なんだか不思議と同時代の香港カンフー映画を思い出す。
良い意味でのチープ感、内容より勢い重視の作り。
観た後の満足度は低いが、不思議と定期的に観たくなる魅力を感じる。