北野武監督作品の中では、『座頭市』と並ぶ完成度の高い娯楽作品 .. >(続きを読む)[良:2票]
北野武監督作品の中では、『座頭市』と並ぶ完成度の高い娯楽作品。
現在の日本人監督の中で、単純に楽しめる作品を撮らせたら、最近の北野武監督に勝る者はいないのではないか、というくらい良くできている。
ストーリーの顛末よし、音楽よし、映像よし。
特に、ヤクザものを撮らせたら、間違いなく現在においてはナンバー1の監督だろう。
北野武が、ただ撮りたいものを撮っていた初期の頃と比べて、“職人監督”と呼ぶべきに相応しい、監督しての巧さを感じさせる。
ただし、それが良いか悪いか。
個人的には、少し残念だと感ずる。
初期の頃に感じた、心に深く突き刺さるものが感じられない。
何か、角がとれて丸くなった印象。
監督としての総合的技量は、年数を経るにつれ、格段にアップしていると感じるが、逆に初期作品の頃に感じられた、鋭利なナイフのような切れ味がなくなっている気がする。
だが、それは北野武の計算なのかもしれない。
何故なら、比較的最近でも、『TAKESHIS’』の様な、自分の撮りたいものを好き勝手に撮っただけの作品も、撮ってはいるから。
商業的な作品と、自分の取りたい好き勝手作品とを、器用に撮り分ける北野武。
それはそれで凄い。
でもできれば、娯楽性が低く世間一般の評判は低くとも、初期の頃の様な作品や、最近で言えば『TAKESHIS’』の様な自分勝手な作品を、もっと撮って欲しい。[良:2票]