箱庭セットが異様に面白いサスペンス。
主人公の室内から見え .. >(続きを読む)
箱庭セットが異様に面白いサスペンス。
主人公の室内から見える建物がパノラマのように丸見えで、いかにも作り物といった舞台が、
覗きという非道徳的な行為と、自分の部屋の中だって丸見えだろ、
というありえない状況を緩和してくれている。鑑賞者に心理的圧迫感を与えるという点では、
ストーリー展開、主人公の設定ともにうまい演出で、緊張感を最後まで持続させてくれる。
劇中のシーンは、ほとんどが主人公の室内と裏窓から見える風景だけ。重苦しい雰囲気に、
グレイス・ケリーの美しさが一服の清涼剤となっている。主人公は思い込みの激しい性格だが、
それも鑑賞者をミスリードするための、あえての設定なのかもしれない。
ストーリーよりも如何に鑑賞者を楽しませるか驚かせるか、ヒッチコックという人は、
改めて演出に力を入れる監督さんだと思った。