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<ネタバレ>終盤に「え?」と思わされ、その意味を一晩かけて考えさせられた久々の深遠なる作品だった。そうか虎はパイが生きるため、神と折り合うために創造した殺人と肉食の象徴だったのか。「リチャード・パーカーがいなかったら、生きられなかった」とトラの存在を全肯定しつつ、他方で神の出現に怯えるトラはつまり彼本来の菜食主義に反する現在の食事情や、人を殺めたことへの罰を怖れているということ。苛酷な試練に引き裂かれそうな心のあわいで、パイは叫ぶ。「神よ、なぜトラを怯えさせるのですか」サバイバルと信仰のはざまで、ぎりぎりのところにいた嵐の時のパイ。そこに現われたのが夜間食肉の浮島、神がパイに与えた恩寵。この島が“本当の話”では何に当たるのか、私の想像は及ばなくて残念だ。
予告を見たときは、自分も周囲も「トラと漂流?そんなばかな」程度のリアクションだった。浅瀬と思って踏み入れたら思いがけず深くてとても驚いた。
幻想的で優美な映像は息を呑むほどで、映画感のスクリーンで観なかったことがとても悔やまれる。[良:1票]