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<ネタバレ>「ラブ&エロス シネマ・コレクション」というシリーズの一つである(R15+)。「エロス」の部分は主に別女優が担当しているが、主演女優も何気に相手なしの“ひとりエロス”をやっていたりするのでその方面の見どころは用意されている。
この映画の問題点としては、とにかく初期設定がたまらなく不自然なことである。日頃からロリータフェイスなどと言われている人物を「ショートヘアでボーイッシュな」役にしたギャップで効果を上げているのはいいが、しかしこれほど童顔で華奢で小柄で肌ぷりぷりとか言われていながらそれでもなお周囲の全員が男と思い込んでいるのは非常に変だ。こんなに可愛いのに男だと思うか普通。いつバレるとかの問題ではなく最初からバレバレではないか。そういうウソ臭さに呆れるというより微笑ましさを感じるのはやはり地が可愛いからだろうし、その辺は制作側の巧妙さとも思われる。
一生懸命男を演じていても否応なしに女性らしさが滲んでしまい、またそれらしい衣装などなくても「女」が表面化してしまう場面もある。それをどうやら本人は意識していないらしいが、それでいて「あたしだって女でいたい」と願う純な心情がいじらしいところへ前記のひとりエロスを演じるのでこれがまたたまらなく愛おしい。とにかく見ていてたまらなくなる映画である。
ところで一つだけ残念だったのはラストのオチであり、ここまでの間にもう完全にバレているに違いないと思っていたにもかかわらず相手役がまだ男だと思い込んでいたのはさすがに不自然である。そのため自分としてはここでのカミングアウトを一瞬本気にしてしまったが、まあこの場面自体は「女の本質」さえあれば生物学的な性差も問題にはならない、ということを言っていたのかも知れない。
何にせよ最後がほのぼのと幸せな感じで終わったのは大変結構なことで、年齢制限の割には(主演女優の実年齢の割には)ピュアな青春物語のようになっている。最後には「大好き!」という台詞をこの主人公にそのまま返してやりたくなった…おれに言われても嬉しくないだろうが。