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<ネタバレ>デジタルリストア版というのをBDで見たので映像的には美しい。大人も子どもも一緒になって「ウンチ」で大喜びするなど、本当にしょうもない場面が美的に映されている。ポスタービジュアルで印象的なビル街の熱帯魚はちゃんと動く映像として出て来ていた。
場所に関しては、実在の地名が出るので嘉義県東石郷(漁港がある)だとわかる。人家がときどき浸水するなど本当にあることなのかわからないが、ストーリー上の意味はあったようである。劇中一家の嫁がバンブーダンスのようなもので遊んでいた(微笑ましい)のは現地の風物ということかも知れない。
日本との関係では卒業式の「仰げば尊し」とか、「刺し身」「ワサビ」という言葉が出ていた。また海に潜る場面で流れた曲はどこかで聞いたことがあると思って一生懸命調べたところ、何と昭和歌謡「恋をするなら」(橋幸夫、1964)だった。自分としてもリアルタイムでは全く知らない曲だが、劇中のは台湾のカバーバージョンと思われる。
主人公は高校受験前の中学生男子で、基本的にはコメディなので可笑しい場面が結構ある。誘拐犯一家はあまり物事を詰めて考えたりしない人々のようで、日本人でさえ思ったのは、台湾全土に「中正路」というのが一体どれだけあると思っているのかということである(映像に出たのは嘉義県朴子市)。脅迫電話でメンバー総出演だったのは笑った。
ストーリーとしては最後にどうなるのか予想がつかなかったが、物語的には若い娘が最後にくれた手紙に集約されていたらしい。題名の意味に関しては、例えば“絶対に実現しないと決まったわけではない夢”とでも思えばいいか。夢想(「白日夢」)だけで満足するのでなく、現実に目指すべき夢を持て、というのが青春映画としてのメッセージと思われる。ほかあまり明瞭ではないが、心から願うだけでなく「縁」も大事だと言いたかったかも知れない。
ちなみに主人公の受験に変に肩入れする男がいたのは、妹への贖罪の意味があったらしい。
登場人物としては、片思いの女子が人魚になってにっこりした場面は和んだ。また一家の若い娘(ちょっとお姉さん)がそれほど美少女でもないのは親しみが持てる。ほか一家を仕切っていた中年女性は、「維基百科,自由的百科全書」によれば“標準的な台湾の隣家のおばさん的性格”らしい(やかましい)。「巨蛇娘娘」という漢字言葉が心に残った。