<ネタバレ>当時の冷戦に右往左往する人間を皮肉ったブラック・コメディの傑 .. >(続きを読む)[良:2票]
<ネタバレ>当時の冷戦に右往左往する人間を皮肉ったブラック・コメディの傑作。
原爆や水爆を狂信的に作る「博士の異常な愛情」が時代を後押しする。
物語はミサイル攻撃を巡ってそれを阻止する者、実行する者の対立をシリアスかつコミカルに描く。
生きるか死ぬかの瀬戸際にコカコーラからのクレームを気にするような人間ばっかりだ。
いざ戦争になれば秩序も道徳も崩壊する。
会議場に集まる高官どもに、外で戦う人間の苦しみなんざ解るわけがない。
気にかけるだけで労いの言葉一つ送れない。
隅々まで届かない命令に何の意味も無い。
そんな人間が人々の上に立てばどうなるか?
無意味な実験や虐殺だけが繰り返されていくだけなのさ。
ラストシーンもまた印象深い。
敵の本拠を目の前にして投下装置が故障。
それを命懸けで外しに行き、爆弾もろとも基地にダイブしていくパイロット。
その時のソイツの顔は、黒い笑みで歪んでいた。
戦争の狂気がとり憑いた結果だ。
それを人々はどう思うのか?
英雄として見るか?
戦争を引き起こした愚か者と見るか?
答えは戦争を勝ち抜いた勝者か、後世に生き残った民衆のみぞ知る所だ。[良:2票]