戦争ドラマの傑作の一つ。
派手なドンパチも無い、ただ女や男 .. >(続きを読む)
戦争ドラマの傑作の一つ。
派手なドンパチも無い、ただ女や男たちの他愛の無いやり取り・・・これだけなのにどうしてこんなにも面白いのだろうか。
捕虜収容所に囚われたフランス軍の男たち。
騎士道精神の権化のようなエリッヒ・フォン・シュトロハイムが醸し出す風格。銃火という壁が取り払われた軍人たちが交わす、人間の本質に迫ったリアルな会話の数々。
反戦を無性に叫ぶでも、戦争を擁護過剰に擁護するワケでも無い。
ジャン・ギャバンの髪の毛の量は明らかにおかしい。それだけ収容所生活が長いのだろうか?
ギャバンたちが脱獄する際の緊張感は、後のベッケルの「穴」に受け継がれたのだろう。
まるで静かに泣くように男を撃ち抜く弾丸。
シュトロハイムを始めとする登場人物たちがまとう幻想的な雰囲気。まるで血で血を争う戦争の現実から逃れ、収容所の“夢”の中へ入ったように。
ギャバンが出会う事になる女性もまた“夢”だったのかも知れない。
それでも、国境で彼らを待ち受ける銃兵は“現実”である。
常に人間味のある暖かい視線が貫かれた、戦争映画の不屈の傑作。