<ネタバレ>日本映画の黎明期から活躍を続けた内田吐夢の傑作サスペンス。 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>日本映画の黎明期から活躍を続けた内田吐夢の傑作サスペンス。
マキノ省三が日本のD.W.グリフィス、
衣笠貞之助が日本のセシル・B・デミルなら、
内田吐夢は日本のキング・ヴィダー!
どんな地味な題材でもスリルを帯させダイナミックに描いてしまうのだ。
「土」や「限りなき前進」なんか正に究極の地味映画。
本作は3時間という長さを感じないスリルに満ちたドラマ。
戦後の台風や火災から一つの殺人事件が浮かび上がってくる。
強盗事件が様々な人間や街一つを焼き尽くすほどに膨れ上がっていく。
だが一度強盗に手を染めた人間は何処まで行っても警察の影が付きまとう。
女を助けた男、愛されていると信じた女、それぞれの顛末。
「限りなき前進」「土」「大菩薩峠」と多くの名作を残した吐夢監督。
本作は邦画黄金期の終焉が迫った65年に制作された。
水上勉の原作を映画化した作品はこの後も多く作られたが、原作の緊迫感を如実に映像化した作品はこの内田吐夢の映画だけであろう。