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<ネタバレ>警察とマフィア、それぞれスパイを長期潜入させて物語が展開されるスパイサスペンス。
ラオール・ウォルシュの「白熱」やボリス・バルネットの「諜報員」を思い出す傑作だ。
“無間地獄”の中を泳ぎ続ける二人の男たち。
進んで地獄を選んだ者、選べなかった者の差。内通者vs内通者、二匹の“犬”による心理戦。一方はモールス信号で情報を送り続ける。
本物の自分はどっちなのか、スパイを探すスパイ。場面の切り替え方が秀逸だ。
生き残るために手段を選ぶ余裕は無い。
“自分の道は自分で選ぶ”。
警察となったアンディー・ラウは、マフィアでありながら仲間から寄せられる信頼に戸惑いを見せる。
「俺は本当はおまえらを殺す側なんだよ」と。
だが、ラウはまだ仲間がいるだけいい。
一方、マフィアとなってしまったトニー・レオンは常に孤独な存在だ。誰も頼れない、誰も信じられない。
だがレオンは知らない。彼が唯一すがる蜘蛛の糸である警察に、マフィアのスパイがいる事を。
ラウは半ば充足感を得ているが、レオンはいつ死ぬか解らない恐怖と戦い続ける毎日だ。
それでも、レオンは自分の責務を果たそうと最後まで諦めない。
世渡り上手と、すぐ壊れてしまいそうな男。
それが徐々に逆の立場へと追いやられるスリル。
最後の最後まで愉しませてくれる屈指の映画です。