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<ネタバレ>「ラヴ・ストリームス」に並ぶジョン・カサヴェテス最高傑作の一つであり、ジーナ・ローランズが募らせたイライラを爆発させていくクレイジーさ・・・さながらカサヴェテス流「ガラスの仮面」ともいうべきバック・ステージ物の傑作!
「フェイシズ」や「こわれゆく女」がより鋭利な切れ味を持ったかのような作品だ。
この映画もまた、ジーナとカサヴェテスが愛を求めがならも劇中では苛立ちをぶつけまくり、舞台の上でも平手打ちといった場面が演技か本気でブチ切れているのか掴みかねるシーンが多い。
そもそも、映画というか劇そのものが演技か本気か観客を惑わす装置でもあるのだが。映画の中で進行される劇中劇は、さらに観客を惑わすために行われる。
ドアにサングラスを顔ごと打ちつけて片方を割った?シーンも、老いの恐怖に苛まれる女と若くのし上ろうとする女たちによる殴り合いも。
女は現実の自分と、そして輝きに満ちていた若き日の自分との、己との戦いにとことん疲れ果てる。そこから夫との愛を通じ過去と決別していく過程が素晴らしい。
カサヴェテスは、そうやってどんな監督よりも観客を散々惑わし、魅了してくれる人間なのだろう。
それにしても、カサヴェテス映画のジーナはどうして人が車に轢かれたり(「ラヴ・ストリームス」&「オープニング・ナイト」)車を吹き飛ばす(「グロリア」)光景ばかり目撃するのだろうか。
それをカサヴェテスの大ファンであるペドロ・アルモドバルが「オール・アバウト・マイ・マザー」でオマージュまで捧げてしまうのだから、よっぽどの事なんだろうねえ。
ダーレン・アロノフスキーの「ブラック・スワン」までこの映画を思い出させるではないかっ!