<ネタバレ>聾唖の青年は"純真"だったが" .. >(続きを読む)
<ネタバレ>聾唖の青年は"純真"だったが"無知"だった。
でなければ、こんな悲劇と報復の連鎖を招くことはなかったかもしれない。
病床の姉を想うが故の、たった一つのボタンの掛け違えが大量の死体を生む。
コーエン兄弟を思わせる底意地の悪いユーモアが、貧困を背景にした悲惨な物語を一層際立たせる。
(社長を刺し殺した男達は恐らく解雇された労働者だろう)。
次回作の『オールド・ボーイ』同様、パク・チャヌク監督の丁寧な撮影構図が光り、
幾重に折り重なった復讐劇を描いた本作の完成度は高い。
劇画タッチとは程遠いリアル志向の容赦ない暴力描写が復讐の虚しさに説得力を出しているよう。
それでもやってしまうのが人間の性だろうし、
キリストの如く全ての業を背負うように死んでいく社長は、果たした復讐に対して安らぎを得たかもしれない。