追悼デヴィット・リンチ。
長編デビュー作の『イレイザー .. >(続きを読む)
追悼デヴィット・リンチ。
長編デビュー作の『イレイザーヘッド』を彷彿とさせる粗めのモノクロ映像に、
尋問する刑事と猿の会話の噛み合わなさがコントのやり取りみたいでもあり、
深く解釈しようにも意味の無いような感じだったりが原点回帰とも言える。
明らかに猿の口元が合成臭さ全開でより歪さを際立たせる。
人間と動物が上手く共存しているかのように見えて、
それぞれの価値観の尺度に齟齬が発生する様は『ズートピア』的である。
このフィクションの世界で"正しさ"とは何か、それは誰が保証して、どこまで許容されるべきか。
現実世界の差別と偏見の本質はそこにある。
…とは言え、変に雁字搦めに考えるよりは、
この意味不明さを堪能することがデヴィット・リンチらしさとも言える。
唯一無二の世界観を作り出した監督の逝去に、一つの時代の終わりを迎えた。