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<ネタバレ>原作小説の愛読者としては、この映画版は非常に罪作りな作品だと感じる。
エルロイの複雑極まりない原作を非常に手際よくまとめ、王道かつ一級品のエンタメ作品に仕上がっている。しかし、点数としては7点。
なぜなのか。これは原作が映画以上に良過ぎるから、の一言に尽きる。
原作小説は映画版を超えるスケール(事件の規模・事件解決までの年数、伏線の数々)で展開され、
しかも4部作中の3作目であるため、4部作通じて読む事で判ってくる本作の楽しさや面白みもあるのだ。
原作冒頭における衝撃の幕開け、黒幕の犯行のえげつなさ(映画の比でないくらいに”ダドリー!!!”と咆哮する事間違いなし)、そこからの怒涛の伏線回収と犯人との血みどろの対決。
映画版にはない複雑さ、えげつなさ、ミステリーとしての鮮やか過ぎる展開が原作には盛りだくさんで、とにかく熱い、熱過ぎる小説なのだ。
映画版を先に観てしまうと、原作を読む事で得られる楽しさや感動が減ってしまう。
原作を読んだ後でこの映画版を見ると、やはりスケールダウンした感じがあって物足りない。
そういう意味で本作は非常に罪作りな映画だなと感じる次第である。
興味を持った方はぜひ原作4部作も挑戦してほしい。