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<ネタバレ>私の読解力が足らないせいもあるんだが、最初が少し説明不足かな。山田君演じる「あにやん」は妹が新発田藩士に手籠めにされたことを怒ってるんだと思ってたが、途中で妻だったと説明があり、やっと理解。いや、これは説明が不足しているのか、それとも方言が強くて理解できなかったのかちょっとわかんないんだけど。
で、そんなことがあって、あにやんは終始新発田藩を憎み、藩の力にはならないことを貫くんだけど、弟分のノロをはじめとする仲間が無残に殺されることを見過ごせず、結局命を落とす。
主役級の山田君にそんなに仕事させなかったのは良かったんじゃないかな。こういう映画って誰か一人最後まで生き残るやたら強い奴がいるもんなんだけど、そうじゃない演出は、他の登場人物が生きて逆に良かった。
印象に残ったのは、紅一点のなつ。演技は正直拙かったけど、もらった小判を予言通り女郎に身を落としたあにやんの妻に渡すところなんか、仁義に厚くてぐっと来た。
そして賊軍の中でも一人異彩を放っていた爺さん。あの腕の立ち方は只者ではないと思ってたけど、長州藩の槍の指南役だったとは。ラストで種明かしする演出が憎い。だって相手は奇兵隊だもんね。「義理あって…」のシーンはちょっと鳥肌立った。長く斬られ役をやってきたエキストラ専門の人みたいだけど、まさに「侍タイムスリッパー」を地で行く感じかな。殺陣も素晴らしくキレキレでこの映画に重厚感を与えていると思う。
最期に仲野君。
彼はこういう義理に厚い実直で真っすぐな役がぴったり来る。
ラストシーンの、指を失った右手に刀を結びつけるシーンからは圧巻。怒涛。
私も彼と一緒になって、阿部サダヲに一太刀浴びせたいと手に汗握って観ていた。
結局奴に一太刀浴びせたのは、娘のさなだったのは無念。
いや、見応えのある映画だった。
最近の邦画、頑張ってるなあ。こういう映画、もっと観たいね。