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<ネタバレ>名匠ペーターゼンがドイツに帰還して撮った、自身としても10年ぶりの新作。キャリア後半はアクション系の大作が主だったが、今作はかなりコメディに寄せた中規模クライム・サスペンス。笑いにせよサスペンス部分の展開にせよ、そこまで独創的で斬新というワケでは決してないけれど、そこそこ「中質」なシナリオとテンポの良さとで十分に楽しく最後まで観れる。正直こないだのデパルマの新作(そして恐らくは最後の作品)みたいに「晩節を汚す」様な作品になってないかと危惧したのだが、心配ご無用、流石の懐の深さを魅せつけてくれました。
役者は揃って如何にもなドイツ人的見た目の方々で、その意味でも少しハリウッド系の映画とは雰囲気が違う。男優だと、中であんまりゴツくないシュヴァイクホファーは一見有能そうに見えるのだが実はトンデモなく無能で、中盤までは相当イライラさせられた(終盤にやや取り返すケド)。アレクサンドラ・マリア・ララは若干萎びてて、かつてのキラキラ具合を知るものとしては少しだけ時の経過が偲ばれる。代わりと言ってはナンだがアンチュ・トラウェは全盛期とも言えるキレのある美貌で、ムサいオッサンが主体の映画に素晴らしい華を添えている。暇潰しには十二分。