2.《ネタバレ》 まず、本作は前作STEINS;GATE第23話から第24話に進まずに別の分岐に進んだ際のシナリオである。#23(β)とナンバリングされ、副題が「境界面上のミッシングリンク」となっているバージョンからの続きとなっている。明らかに前作の視聴が前提となっているため、このレビューもそれにならう。
紅莉栖を救う事を諦め、第三次世界大戦へと繋がるβ世界線での話になるため、全体的に話が重くて観るのに体力がいる。前作のSFと人間ドラマの割合が丁度良かったのだが、本作は人間ドラマの方に重点が置かれている。前作でSF要素はほぼ出し尽くしているためこの舵取りは仕方がない部分もあるが、いわゆる泣かせシーンが何度もあると流石に食傷気味になってしまう。
SF的な見所は減ったが、人間ドラマとしての見所はそれなりにある。例えば第8話での紅莉栖との再会や第21話での鳳凰院凶真の復活は何度でも見たくなる場面だ。あの痛い名乗りで感動する日が来るとは思わなかった。そして最終話・23話で「Hacking to the Gate」が流れるシーンも最高だ。
最終的に前作の第24話に繋がるという制約があるため、どうしても想像を超えたシナリオにする事は難しかったであろう。とは言え前作が良すぎただけで、本作がつまらないわけではない。むしろ、前作の第23話のラストと24話がどれだけの覚悟と決意で辿り着いたのかが分かり、重みが増すと言うものだ。前作が好きなら見て損は無い。
なお、SPまたは第24話とナンバリングされている「結晶多形のヴァレンティヌス」は完全に寄り道の番外編であり、本編の雰囲気からも逸脱したコメディ要素の強い内容となっている。時系列的には第12話・13話くらいに当たるので、最終話の後日談だと思って観ると肩透かしを食らうので注意。