1.初めて山田風太郎の忍法帖シリーズを読んだときはあまりの荒唐無稽さに言葉を失ったものだけれど、こうして漫画化されたものを読むと、活字よりしっくりくる。山田氏の破天荒すぎる想像力には漫画という方法論が合っている。せがわさんや浅田寅ヲさんの見事な仕事振りをみるにつけ、山田風太郎は生まれてくるのが早すぎたと思う。
ちなみによく『バジリスク』の若い読者が「ストーリーがジャンプ形式」だというけれど、実際には山田氏原作の古典的名作(横山光輝『伊賀の影丸』)からバトルものが始まってのちの少年マンガに受け継がれていったのであって、正確にいうと山田風太郎がジャンプ形式なのではなくジャンプが山田風太郎形式なのです。
だから『バジリスク』は現代エンターテインメントの原点と最前線が交叉した作品といえるわけで、そう考えるとなかなか感慨深いものがあります。