1.女の子になりたい男の子、二鳥くんと、男の子になりたい女の子、高槻さんの緩やかな成長を綴る青春もの。志村貴子さんの絵柄は丸っこくてかわいらしくて、たとえ深刻な展開であってもなごめるのが良いです。そして題材の割にはいたずらに深刻にならないのがまた良い。人物描写にも説得力があって、脇役の千葉さおりという子がとくに実在感があって面白い。かわいいんだけど感受性が強すぎて、悪意はないのに結果的に自己中心的になってしまって、同性からは嫌われる――いるよなあ、こういう子。どのキャラクターも類型にはまらない個性があって、楽しいのです。物語もやんわりと読者の予測を裏切り、淡々としているようでとてもドラマチック。志村貴子はもっともっとメジャーになってしかるべきだと思うんだけど、それは個人的な贔屓目に過ぎないんでしょうか?