1.《ネタバレ》 『脂肪という名の服を着て』に並ぶ、安野モヨコ氏初期の秀作のひとつ。さまざまな登場人物が有機的に絡みつく複雑な展開が見もの。主役の少女はもちろん、その両親まで恋愛に突っ走る。なぜかおじいちゃんと小学生の弟君がいちばんの決め台詞を吐く。恋に酔ったり病んだりしている連中よりも、恋愛に距離のある人間がもっとも適切な判断力を持っている、ということか。かと思うと意識的に冷静さを捨てることで最大限に恋を楽しむキャラもいる。どちらとも、違った意味でラブマスターなのかもしれない。……「ラブマスター」って素の文で書くと異様に恥ずかしいな。