1.これも自分としては幽白に並んで青春の一作という感じがする。
明治時代の日本を舞台にして史実を織り込んで展開する割には、「なわけねーだろ」と突っ込みたくなるめちゃくちゃ荒唐無稽なネタが多く、またどうでもいいところでいちいち足踏みする展開のまだるっこしさも手伝い、読み進めるにつれてだんだん白けてしまった。しかしキャラクター造型の上手さや、作品のクオリティが安定していたことは否定できない。
とくに面白いのは主役の緋村剣心のほとんど二重人格的なキャラクターで、普段はとぼけているのが戦いとなると別人のように酷薄な雰囲気になる。目立った変化は眼光ぐらいなのだが、まるで変身ヒーローのように印象ががらりと変わるのだ。個人的には『ドラゴンボール』のスーパーサイヤ人に負けないくらい印象深い演出である。