1.《ネタバレ》 「夢で見る風景/感覚を覚醒したまま再現する事」は美術、小説、映画、漫画において様々な試みがされてきましたが、舞台設定において画期的な漫画。
単純に言えば人気の無い巨大な建造物の中を上へ上へと昇っていくお話。夢の中を彷徨っているような①巻の雰囲気が特に好き。
しかし上ってきたつもりがラスト近くで世界の中心に出てしまう(…と地球の痕跡かとずっと思ってましたが、「直径14万7000km」というと木星の痕跡であって「中心」でもないかもしれない…)。
徐々に不明確に、間接的に明らかにされていく作品世界の構造。「ネットスフィアに接続できた=現実世界に戻る」のようなヴァーチャルリアリティ的なオチを予想してましたがハズレでした。
都市構造物の外枠が水で満たされているのは、都市が無限に拡張していくというイメージに合致して良。更にはその中で未来を担う新しい生命が誕生するという事で「原初の海から生まれた最初の生命」の寓意ともとれる見事なオチだと思います。