3.《ネタバレ》 今でも良く読み返しています。
今読むと、現代とは違うあの頃の特有の時代感というか、泥臭さと言うか何と言うかそういったものを含めてとても心に刺さるものがあります。
元気や、元気の周りの人々を取り巻く状況は結構ハードだし、元気にいたっては生まれて同時に母親を失い、幼少の頃からボクシング、大好きな父も亡くなり、中学を卒業して全てを捨てて上京・ボクサーの道へ。青春時代を全て父の想いを胸にボクシングにかけて来た。そしてプロわずか14戦で引退。その間に大切な人との幾たびの別れ、ライバル・親友の夢を潰して上に上がらなければいけない世界。
たとえ漫画だとしても恐ろしく過酷で尋常ではない苦難の連続にもかかわらず、元気は真っ直ぐで綺麗な目のまま真っ直ぐ歩いて来た。
他の漫画でこんな事があったら、主人公は道を踏み外し、主人公も汚れて行くでしょう。
がんばれ元気が特異で、これだけ心に残る作品なのはこういった点だと思います。
こんな聖人いないだろと思いながらも、作中のライバル達が、いつの間にか元気と戦う事を自らのボクシング人生の最終目的に変えて行くのはこういった元気の人物像に惹かれていったからでしょう。
そしてあのラスト。関拳児戦の終わりから田沼家へ帰るまでにシーンは漫画史上、これほど晴れやかで美しいラストは無いと思います。
今読むと、時代のずれを大きく感じるかもしれませんが、多くの人に読んで欲しい作品です。