1.「風魔の小次郎」の正統続編。オリジナルでの突っ込み所・・柳生蘭子が何で風林火山持ってたのか?とか、柳生は忍びの総元締なのに何で風魔に助力を乞うたのか?等々に上手い説明があり、そこから話が展開していく。今回の敵は柳生一族(裏柳生)。敵のメインとなるのが仏教の四天王(多聞天、広目天等 ※サンスクリット語読みのルビがあるw)になぞらえた剣士と帝釈天(インドラ神)。オリジナルの聖剣戦争の最後に弥勒菩薩みたいなキャラが出てきたのでちゃんと世界観が結びつく感じ。
オリジナルの難点は、当時の人気投票の影響かやたら美形ばかり出てきて人物描写が希薄だったこと。竜馬や武蔵等一部のキャラ以外は誰が何を喋っても同じのような状況だった。本編は各キャラの人物像・・項羽兄弟の性格の違いや、子供時代からの小次郎との確執なんかも描かれており、結構読み応えがあります。作者は車田氏のアシスタント出身らしく顔の描き方はオリジナルにとても近く良い感じです。独自に加えた装飾品(武蔵が学ランの上に着物を羽織ってるとか、伊達総司の学ランに炎の刺繍がしてあるとか)も良い。
逆に残念なのまず話のテンポが良くない事。車田漫画の本領は阿修羅九門やアテナ十二宮のように話が決められた順番に進んでいく、ある種パターンの美学のように思う。本編はあっちこっちに話が飛びすぎ。四天王が一通り出終わった後にγ(Σ=死牙馬への伏線か)やインドラ神が出てきてほしかった。
またコマ割も御大のモノとは感覚が違う。車田氏だと1ページ丸々使った情景描写(渓谷や滝、山門、海など)で一気に世界に入り込める所が有りますが、本編はそういう点は物足らない・・良い線は行っていると思うんですが。キャラや技のネーミングももう少し考えてほしい感じ。
現在、何故か長期間の休載中。何とか再開を切望します。