1. デビルマン
作者自身が言ってるように行き当たりばったりで描いたというだけ有って、後半部分では、若干つじつまが合わない部分も有るが、ある意味よく言う何かか降りてきて・・・って状態になって生まれた作品という感じがする。個人的にはやはり、永井豪の最高傑作だと思うし、日本漫画においてもやはり代表的作品だと感じる。皆さんが言ってるほど個人的には暗くは感じず、特にエンディングは叙情的な余韻や美しさを感じずにはいられない。さて、この作品のジャンルは・・・といったところ、私は実は人類を超えた恋愛愛憎劇だと思っている(笑)『アモンとシレーヌ』『明とミキ』そして『人間不動明と堕天使サタン(ルシファ)』の愛憎劇であり、やがてそれが人類を終局に至らす戦いに発展したと言える。 10点(2008-01-16 19:35:31) |
2. ドッグ・ワールド
この作品は、石ノ森章太郎であったから描けた作品であろう。 犬が進歩し、2足歩行し言葉を得て社会を構築する世界・・・人間は言葉を失い犬よりも下等で犬の支配下におかれた世界・・・文明のあり方と人間の進歩をテーマにしたその内容は実は重くなりがちな内容なのだが、同テーマ内容の『リュウの道』のような重々しさはなく、犬が主人公のおとぎ話のような冒険活劇に仕上げっている。これは、一重に作者の年齢の積み重ねによる円熟さが影響していると考えられ、深いテーマ性に対して読みやすい作品となっており、隠れた名作であると思う。 そして、大きな評価はその主人公の犬たちの描写である。動物を生き生きとしたデフォルメ化したマンガ描写というのは、ディズニーかの影響とは言え、やはり、手塚治虫とこの石ノ森章太郎の二人の右に出る作家はいないであろう。 また、近年このような動物たちを主人公としたファンタジックな作品が受けいられないし、また、書き手も居ないであろう・・・というのは、やはりマンガ業界自体が産業化(売れる売れない・・・)に傾いている結果と思えさびしい限りだ。 9点(2008-01-30 15:18:28) |
3. 原始少年リュウ
同氏のSF大河ロマン作品でる『リュウの道』のアニメ化の話が持ちあがったが、当時のゴールデンタイムのアニメとしては、難解かつ重々しい内容の為、代替の新作原案として、アニメ化規格と同時進行で少年チャンピオンに連載された作品。アニメは結局太古ロマン作品として完結したが、原作は・・・さすが石ノ森と言える当時としてはあっと驚くエンディングが用意されていた。そのエンディングからすると、この作品はSF作品に分類されると考えられる。また、この時期氏のペンが一番乗っていた時期と私は思い、その作画も秀逸で未見の方は機会があったらと、進められる作品で有ると思います。 9点(2008-01-22 16:07:05) |
4. 人造人間キカイダー
石ノ森氏の一連のヒーロー作品の中では、そのストーリー構成やまとまり、また哀愁はあるが、極度には暗くなく読みやすく、一番よい作品ではないかと思う。ピノキオをモチーフとしており、そのエンディングは秀逸であると思う。 キカイダーというタイトルも目から鱗であり、そのロボットデザインも非凡さを感じる。唯一この作品は下書きは石ノ森氏であるが、ペン入れはすべて、弟子的な方々がページ単位で数人で担当しており、氏の作品が好きな人はページ単位で絵が変わっている(別の人がペン入れをしている)ことに気づくと思われる。その部分で-1点・・・ 9点(2008-01-21 15:44:14) |
5. イヤハヤ南友
いや~・・・全国区の少年誌で良く連載出来たなぁ~・・・と感心します。 永井氏のエロギャク作品の頂点だと私は思います。 当然青年誌のような『男女のからみ』があるわけでなく、チームに分かれた体を使ったゲーム的戦いが中盤作品の全般となるのですが・・・その戦いのヒロイン達の表情はまさに、性的絶頂の表情描写・・・まさに、少年誌における確信犯的作品・・・感服します・・・・ 9点(2008-01-19 13:08:23) |
6. 凄ノ王
このころの永井氏は一番のっている時期なのかと思う。(なんで、後年どんどん絵が下手になってきているのか・・・??年齢により絵が枯れるというが、それ以上の気がします・・・) かつ、きっと、この作品はこの時期におけるSF物の自身の総決算を目指したのかな・・・?と個人的には思い、スサノオウやヤマタノオロチなど日本の神話的古典をモチーフに取りながら、超能力や未来へ進むその話の展開など、中盤まではとても引き込まれ読ませてもらった。作者自身自分の手に負えなくなるレベルまで話を膨らまししこで、未完で終えよう・・・と、初めから画策していたそうで、結局知りきれトンボな感は免れず、個人的にはそこで、-1点・・・ですね! 9点(2008-01-19 12:11:30) |
7. 手天童子
永井豪氏は、ギャグからSF、怪奇物まで、その作品範囲と作品量は現在多く活躍する作家の比ではなく、また現在も活躍する漫画界の大御所の一人であろう。 『デビルマン』などは、海外でもその評価は高くあの『エバンゲリオン』も多くの影響を受けているといわれている。そんな数多くの永井豪作品であるが、大きく評価できる作品は、『デビルマン』『凄ノ王』そしてこの『手天童子』であろうと私は思う。 そしてこの手天童子は、『デビルマン』のような行き当たりばったり・・・でなく、初めから計算され、しかもその展開は現代過去未来にかつ、精神世界から宇宙空間に及ぶまでを舞台とした壮大かつでも、しっかりまとまった良作だと感じます。 また、とかく、永井氏の作品は、女性は読みにくいと考えれらるが、この作品は、比較的女性も読みやすい部類の作品ではないかと思います。 9点(2008-01-19 11:48:55) |
8. さんだらぼっち
氏の作品は、その作品を書いた年齢が作品自体の特徴に大きく反映していると私は思います。そういう意味では、この作品は、氏が円熟期に入った頃の作品であり、氏自身の年齢から来る心のゆとりが生み出した作品であると思います。江戸は吉原を舞台としたそのほのぼのとした人情劇は読後暖かさを感じさせ、氏のファンで私の中でも一番好きな作品のひとつです。 ただし、作者の年齢が書かせている作品であり、私自身10代や二十歳そこそこでこの作品の持つ味が理解出来たとは思えず、この作品の味を理解するためには、それ相応の年齢が必要とも思えます。 9点(2008-01-16 20:47:14) |
9. 仮面ライダー
仮面ライダーと言えば、私のような40代の男性には思い入れのある子供特撮ヒーローものですが、 この原作作品は決して子供向けではなく、現代社会の問題点を題材にする有る意味社会派とも言える作品です。 主人公は、石ノ森ヒーロー像の典型的な孤独のヒーローで有り、悪の秘密結社に改造され脳改造を免れ脱出した本郷猛。 人間であり人間でなくなった自分であり、それが故愛する人の愛に背を向け、自分と同類は敵であり、人間でなくなった自分が人間を助けるために唯一の同類で有るショッカーと戦う悲哀に満ちた作品である。 そのヒーローがニセ仮面ライダーに取り囲まれ銃で死んでしまうハードな展開も特筆すべき点だと思います。 作画的には、1970年初頭と思えないほど洗練されており、映画的手法をマンガに持ち込んだのは手塚治虫であるのは有名な話ですが、 石ノ森章太郎はその手法をさらに推し進め柔軟なコマ割り(それまでは、縦4段、横3段が一般的)によりさらに流れるような描写や叙情的な描写に発展させた作家であると考えられます。 私は、この作品は、その表現の完成を見た作品と思え、またその作画構図も卓越したものが有り大きな評価に値する作品と考えます。 唯一、後半若干作画が荒くなっている点が残念で-1点・・・・ 9点(2008-01-16 12:20:36) |
10. はだしのゲン
原爆の実態を初めて教わった作品。 小説などの文字だけのメディアでなくマンガというメディアでなしえる、情報伝達力であり、だからこそ、当時、小学生で有った私にも原爆の恐ろしさを十分に理解することができた、単にマンガと言えない作品である。 だからこそ、マンガであるが、小学校の図書館とかにも置かれている名作である。 作品自体は、その時代に生きたゲンの成長劇であり、原爆の恐怖が如実に書かれた部分は前半の3分の1程度で、その後は、戦後の混乱期を中心とした物語である。 その前半部分がインパクトが異常に強くどうしても後半部分地味目なのが残念な作品である。 ただし、日本人で有ったら一度は目を通して欲しい作品である。 8点(2008-01-30 16:55:36) |
11. スカルマン
少年マガジンに100ページの読み切り作品として掲載された作品であり、同氏の特撮ヒーロー作品『仮面ライダー』の原点となった作品として有名で、昨年はアニメーション化された。主人公は、肉親の死に対しての復讐を目的にた反社会的活動で仇のあぶりだしを行う。この主人公は、ワニやコウモリの怪人に自由に変身できる人造生物を片腕に持ち、(これ自体、後のショッカーの怪人の原点であろう)さらに、骨肉の争い的な救いのないエンディングに至る。『仮面ライダー』の原点であるが、私自身はそのエンディングに石ノ森氏のこの時期の特撮ヒーロー作品の原作全般に通ずるものを感じる。 その意味では、この時期の氏の作品の基本フォーマットを確立した重要作品でありのは間違いはなく。また、100ページという範囲に無駄なく、きっちりとまとめあげているのはさすがだと言える。 余談であるが、なにより、石ノ森氏は、この程度のページ数(中編程度??)でより良い作品が描ける作家で有ったと私は思う。 8点(2008-01-30 16:09:12) |
12. ギルガメッシュ
近年アニメ化もされたが、そのアニメと原作であるこの作品は、ぜんぜん違う別物で有ると認識して読んだ方がいい・・・ (私的にはアニメより、こっちの方が好きである) 前半部分は私個人は氏の作品の中でも好きな作品であるが、エンディング部分が、この時期の氏の他の作品と似た感じで、私としてはもう一つ評価できない。 主人公が竜也であり、古代文明と人類の進化を主題としておりその壮大な内容から、リュウ3部作の別編的作品との解釈がされている。 8点(2008-01-24 15:30:10) |
13. 変身忍者嵐
石ノ森氏のヒーロー作品はそのすべてが、悲しみや苦悩を背負ったヒーローであり、悲哀に満ちた作品が中心なのですが、この作品はその中でも群を抜いていて、とにかく暗い・・・最後の最後まで救いがない哀しみ満ちた作品だと思います。その悲哀を表現するため、仮面ヒーローでは、表情描写がしにくいためにほとんど主人公は人間体で、『嵐』の姿は、前編通して100コマも無いことは、知る人は知る内容であり、ヒーロー物ではなく、ただ単に、精神葛藤に主軸をおいた時代劇ものとして読むのが正しいような気がします。時代劇における氏の作画能力はズバ抜けており、また、その苦悩描写も私的には物語に重厚さを感じさせ、好きな作品と言えます。唯一最終話は、あきらかに、石森氏のペン入れでないと私は感じ残念に思うところです。 昨年秋田書店より文庫本が発刊されましたので、興味ある人は読んでみてください。 8点(2008-01-21 16:07:31) |
14. キューティーハニー
空中元素固定装置によるヒロインの変身・・・ 当初は少年誌に掲載したとおりその変身シーンで裸になるように、少年を中心的ターゲットしたのだろうが、その後における少女変身ヒロイン作品に大きく影響を与えた作品であると思う。 マンガ自体は結末の無い中途半端な作品であるが、その作品コンセプトとヒロインデザインは秀逸で有ろう。 事実、OVAを含めて4度のアニメ化、実写映画1本に、さらに今現在も深夜実写作品が放映されている。さらに、原作マンガはほぼ10年おきの3度の連載にリメイクの別作家によるコミカライズなどそれだけ良質なコンテンツ原作で有るのは間違いないだろう。なもんで、この点で! しかし・・・嫌いリドリーのご指摘のように、年々作者自身は絵が・・・退化してるきがしますね!(笑) 8点(2008-01-19 13:21:07) |
15. バイオレンスジャック
《ネタバレ》 作者のこれまでの作品の主役級を描く話のモチーフに取りながら、関東における終末的世界を舞台に展開する終末バイオレンス作品は各作話3~400ページの中篇にまとまり、引き込まれる。 近年に渡り日本の漫画界の大ヒット作品の一つである『北斗の拳』の世界観は個人的には間違いなくこの作品のパクリではないかと感じているほど、終末におけるバイオレンス世界のその世界観はこの作品以降に生まれた各作品に影響与えた重要な位置づけをなす作品だと感じる。 しかし・・・結局最後は『デビルマン』の世界に繋がる・・・てのがどうも・・・・(笑) 8点(2008-01-19 12:25:48) |
16. こちら葛飾区亀有公園前派出所
この作品がジャンプ新人賞を受賞しそれが掲載された号をリアルに読んだ記憶はいまだ忘れません。当時作者は、山上たつひこをもじり、山止たつひこって名前でしたね・・・!今よりあくの強い劇画タッチの絵柄とスピーディなギャグは忘れられません。なによりも、生まれも育ちも今現在の居住も亀有の私としては、その亀有の知名度を全国に広めた功績?は、評価です!(笑) その話は別にして、まんがに対する大きな部分でのニーズが『ひまつぶし』であるとしたならば、しばらく読んで無くても、床屋の待ち時間を間違いなく楽しい時間にいつでも変えてくれる内容とクオリティを維持しつつ30年・・・ってのは、そのまんがの本質を考えると評価以外のなにものでもない!って思います!! 8点(2008-01-17 14:48:33)(良:1票) |
17. 番長惑星
リュウ三部作の最後に書いた作品で、『リュウの道』は未来、『原始少年リュウ』は過去、そして、この『番長惑星』は現代を舞台とした作品である。 石ノ森氏の作風は、1960年代後半から1970年前半にかけ、絵のタッチは当時こぞって発刊された成人コミックへの意識から劇画タッチで緻密化され、また、ストーリーも重厚さをまし、絵と同様にストウィックかつ、哀しみに満ちた作品が主流となった。このリュウ三部作の先の2作はこの時期に作成された作品である。 しかし、1970年中盤から、そのタッチは、緻密化は残しつつもキャラクター的には丸みを帯び、少年作品への回帰が感じられる作風に戻ってきている。また、ストーリー的にもそれまでの暗さが、急に明るくある意味主人公も能天気に変貌している。 まさに、この作品はその後年の作風の中で執筆された作品の代表作であると言える。 近年石ノ森氏のタッチをそのままアニメ化出来る作家として有名になった紺野直幸氏は、その作品の大ファンで有るとのコメントを雑誌等で見受けた記憶がある。 私的にはそうしても、この作品以前の石ノ森氏のストウィックな重厚さに大作的感覚を感じるために、この作品はこの点で・・・・ 7点(2008-01-22 16:26:59) |
18. ロボット刑事
一連の石ノ森氏いよる特撮ヒーロー物の原作に当たる作品ですが、内容はハードで、少なくとも小学校低学年程度の年齢では理解出来ない内容かと思います。 身勝手な人間の心に振り回される純粋なロボットの心の葛藤は秀逸で有るといえます。 この作品以降、石ノ森氏は刑事ものの作品を継続的に書くようになった(おみやさんなどは近年もドラマ化された名作でしょう!)って意味では、石ノ森作品の中では意味の有る作品だと思います。 7点(2008-01-22 09:52:47) |
19. イナズマン
石ノ森氏による一連の特撮ヒーロー物の原作にあたります。 石ノ森氏のこの作品以前のSFや冒険活劇もは、少年によるグループによる活躍と、超能力ものが代表的とも言えるが、その代表的作品『少年同盟』と『ミュータント・サブ』を融合し、それらの集大成的位置づけで執筆した作品かな???と思う。 エンディングこそ、石ノ森独特の骨肉の争い・・・となるのだが、そこに行きつくまでは、石ノ森氏のヒーロー作品にみられるダークさや暗さ、悲しさ・・・・はあまり見受けられず、カラッとした作風である。その分私自身はこの作品には重厚さをあまり感じず、ちょっと低めの評価・・・となりました。 余談ですが、この時期『石森章太郎』の著作名で少年サンデーには、この作品と『人造人間キカイダー』を同時連載していました・・・ 同一週刊誌で一作家が2作品同時連載・・・ってのは、あまり無い例ですね・・・! 6点(2008-01-22 15:53:08) |