みんなのコミックレビュー |
| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 岡崎作品は暗いものが多いけれど、とりわけ読み進めるのが辛いのがこれ。ほんとうは何もかもが崩壊寸前だとわかっているのに、平気な顔を取り繕いながら綱渡りの生を歩む。やがては破綻するであろうことが明らかなだけに、全編に渡って剥き出しの神経を掻き毟られるような心地がした。
他作品でも同様だが、突如差し込まれる見開きがすごく効果的だ。しかも大抵は直線ばかりで構成されたうら寂しい都市の風景。あるいはオーブンに頭を突っ込んだ死体という、読んでいる者をぶん殴るような絵。面白いから本を閉じるまではいかないんだけど、この読んでいてぎりぎりまで追い詰められるような焦燥感は、すごい。 ところがこの悲劇的な物語は、ラストで思わぬ着地をみせ、突き抜けたような不思議な明るさを漂わせる。続編なんてなしに完結させてほしかったという気もするけど、これも悪くないのかな。絶望的な虚無を描きながらもどこかしら切ない美しさがある、痛ましい傑作。 【no one】さん 9点(2007-10-28 17:33:00)
その他情報
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS |