《ネタバレ》 私がこれまで読んだ漫画全ての中で、先頭をひた走る2トップは「寄生獣」と、この「無限の住人」ですね。他の多くの戦闘系漫画にありがちな「この敵を倒すと次はもっと強い敵が出てきて、それで主人公も新たな必殺技を編み出して成長していく・・」みたいな展開は全くありません。むしろ本編はその逆で、主人公の凛はからっきし弱いままだし、用心棒である卍も最強どころか登場人物全体の中では中の上の強さ、しかも話が進むにつれて段々と強くなっていく感じも全く無し。宿敵である逸刀流のボス「天津影久」も最強ではなく、その上にはどうしても到達できないほどの強い剣士が序盤から存在しており、強力な剣士は序盤に多く登場して消えていく、といった独特な設定になっています。ここまで書くとつまらない感じがするかもしれませんが、読んでみるとこれが実に面白い。・・・で、何が面白くさせているかと言えばズバリ「脇役たち」です。一人一人に影があり、奥深さがあるんです。映画も同じですが、脇役たちが光ってる作品は良作が多いですよね。それから、この漫画を語る上において忘れてはならないのがカメラワーク。画風については賛否が分かれているようなので触れませんが、この作品のカメラワーク(漫画なのでカット割りと言うべきでしょうか?)はかなり秀逸で、この作品をそのまま絵コンテにして映画が撮れるくらいの凄さです。月刊誌への連載漫画のため、1~2年に単行本1巻というスローペースですが、発売日が楽しみでならない唯一の作品です。
【長毛】さん
10点(2008-02-24 02:27:43)