1.《ネタバレ》 「三面怪人 ダダ登場」のエピソードである。副題は「ごーてんろく」と読むのかと思っていたが台詞では「ごーろく」と言っていた。肩書きのとおり顔が3種類あって時々変わるので、劇中人物は騙されて3人いると思い込んでいたが、視聴者にとってはオープニングで「三面」だとバレていたことになる。
今回はサスペンスホラー的な展開で、建物内で人が怪物に追われる展開は子どもにとってけっこう怖かった気もするが、今回見ると建物内より屋上で追いかけられて落ちそうなところの方がスリリングで怖かった。また今の感覚では、ダダは怖いというよりむしろ上司との関係で人間味を出していたりして、気色悪いが親しみやすいキャラクターではある。人を怖がらせるだけで大した特殊能力もなく、人類サイズだと屈強な男なら対抗できる非力な奴だったようで情けない。
なお疑問点として、話の流れからすると人間標本5は病院から拉致された男、6は研究所を訪ねて来た秋川技官(超優秀、色気あり)なのかと思っていたがそれでいいか。序盤のバスの転落事故も、標本を取るためかと思わせておいて結局ダダとの関係が不明に終わったが、そもそも病院からの拉致方法を見れば事故も必要なかったはずで、ちゃんと考えるとよくわからない話になっている。
ところで今回特徴的だったのは、かつてのお色気女優だった荒砂ゆき(当時:田原久子)という人が出ていることである。この手の番組では「ウルトラQ」(1966)第24話にも出ていたが、これは監督が同じだからという関係か。かなり個性的な容貌で(バスの車掌役の方が普通に可愛いタイプ)、最初はいかにも怪しく見えたが実は…というのも前回出演時と似ている。
お色気に関して具体的には、脚をひっかけられて転んだのを脚の方から撮るとか、外壁を登るのを下から撮ってスカートの中が見えそうだといった場面を入れてある。しかし「ウルトラマン」はウルトラシリーズ中でも子ども向けの性格が比較的強く、大人が見る要素などほとんどなかったはずであり、これは一体誰に見せるために作ったのかわからない。合理的目的がないのであれば監督の趣味だったと思うしかない。