1.何か面白い海外ドラマはないかという問いに、必ずあがる作品の一つで、imdbでもゲームオブスローンズに並んで9.5/10と評価が高く(8以上はたいがい面白い作品と言われている)、特に海外ドラマ通や業界関係者の評価が異常に高いドラマである。ドラマは完全な続き物で、シーズン5(シーズン5は前編と後編に分けられているが、日本では後編はファイナルシーズンになっている)で完結しており、海外ドラマにありがちなシーズン最後はグダグダで終わるとゆう事はなく、全体で一本の映画のように、最後までよく出来た脚本であると言われている。では、どんなドラマかというと、簡単に言えば、ピカレスクである。いわゆる、ワルや犯罪者が主役の、自分の生き様を見せつけるってゆう系のドラマ。ただ、このドラマが面白いのは、この主役のワルがよくいる普通のワルじゃないって所がミソ。主役のウォルターは、どこにでもよくいる50歳のなさけなーい感じのおっさんである。高校の化学の先生で、生徒には授業中なめられ、それだけでは生活がままならないので、洗車屋でオーナーにガミガミ言われながらバイトもしてる。一応、結婚しており、奥さんは妊娠中だけど、完全に奥さんの尻にひかれており、高校生の息子がいるが脳性麻痺で杖がなきゃ歩けない。温厚で真面目を絵にかいたような人物で、この男のどこをどうとっても犯罪者やワルには結びつかないのである。そんな男が、お話が進むにつれ、普通の今までのしがないおっさんの生活を続けながら、裏では警察どころか大きなギャング組織や裏社会にまで、一目おかれる伝説の怪物的ワルに変貌していくのである。表面は50の真面目で貧相なおやじ、だが裏ではとんでもないワルへと変貌、しかも多くの人がそれに気づかない。これがこのドラマの面白いポイント。では、なぜそうなれたか?彼は化学の先生である、そして普通の人より優れた化学知識があったのだ。この知識が武器になったのだ。このドラマのタイトルロールには元素記号が使われた演出があるが、それはそーゆうことである。ただし、この男、もともとワルの素質はあったのではないだろうかとも思える。それに50歳で自分が追いつめられるまで気づかなかったのだ。とにかく、そんなわけで、このドラマは一般的なわかりやすいハラハラドキドキの娯楽作品ではない。だから観る人にはよっては、噂ほど次から次と観たくなるほどハマらないかもしれない。正直、僕も、シーズン1の1話以外とシーズン2、3は面白いんだけど、別に途中で観るのをやめれるくらいの勢いであった。淡々とした生活シーンも多いし、ワルへの変貌もものすごくゆっくりなので。ただし、シーズン1の1話目はかなり面白かった。冒頭のパンツいっちょうでガスマスクのおっさんが、キャンピングカーで暴走ってシーンは見た目もインパクトあるし、なんでそんな感じになってもーてるのかすごく興味が引かれ、その後、過去に話がもどるんだけど、全然、退屈ではなかった。あと、さすがにシーズン4と5は、物語のクライマックス部分にさしかかるので、次から次へと観てしまうほどハマってしまった。脇のキャラも味がある。もう一人の主役と言えるほどの存在のピンクマン。彼はウォルターの元教え子なんだけどチャラいジャンキーである。しかし彼はドンドン過酷な体験をして彼も変貌していくのである。彼とウォルターの奇妙な関係性は、ある意味、一番ハラハラしてしまう。そしてウォルターの最大のライバルのガス。シーズン2の後半に登場するが彼の登場で物語にグッと緊張感が生まれた感じになる。冷酷で狡猾しかし見た目が温厚ってところはウォルターに重なる部分がある。あと忘れちゃならない弁護士のソウル。やっぱ大物ワルには弁護士の存在がなきゃってことで登場。一見お調子者のコミカル担当なんだけど意外に有能で道理をわきまえた奴で、彼の登場によりウォルターの世界がグッと広がった感じになる。ソウルは人気のキャラなのか、彼が主役のスピンオフのドラマもある。他にも沢山いるけどウォルターを中心に彼らの視点でも物語が進行するので、一種の群像劇っぽい所もある。とにかく、ワルなんだけど主役のウォルターに感情移入してしまえば、悪いことをしてしまってバレやしないかとゆう、ばつの悪いドキドキ感と、どんどんひどくなる主役の振るまいに、そんな主役を応援している背徳感が観てる者の精神を上げたり下げたり何とも言えない気分にさせてくれて、それでいて最後まで見ると、ウォルターの生き様に何とも言えない感慨的な気持ちにさせてくれる犯罪ドラマ、誰にでもおススメって感じではないけども、ピカレスクが嫌いではなければ観てもいいかも。僕は最後まで観てかなり良かったし、みんなが絶賛するのにも納得なので、この評価。