1.《ネタバレ》 NHKのBSでリマスター版を放送しているので、初放送以来久々に見ています。今見てもうまく作ってありますね。デヴィッド・スーシェの“そっくり”ぶりによく言及されますが、それよりもシリーズの基本フォーマットがいい。原作で初期のレギュラーであるヘイスティングス、ジャップ警部に加え、ミス・レモンを配し、ホワイト・ヘブンマンションの事務所を舞台にしたのが技あり。クリスティ自身作家歴が長いですし、シリーズもいろいろと変遷があるのですが、そこからうまく要素を取り出してあります。作品のチョイスにしても、ポワロものの短編は初期に多いのですが、それにこだわらず、むしろ主に中期以降から選んでいるところも面白い。中には海外での事件もあって変化をつけています。最後にはユーモラスなオチのつく話が多く、こうしたところはプロデューサーやメインライターであるクライヴ・エクストンの功績が大きいのでしょう。時代色もよく出ていて、イギリスのドラマらしく原作を尊重しつつ丁寧に作られています。そうしたところが、成功したゆえんでしょう。安心して楽しめるシリーズです。