1.《ネタバレ》 2005年から7年間もの間に米国で放送された刑事ドラマ【The Closer】の続編的作品。大ヒットした前作の終盤から登場した人物をボスとキーマンに投入し、凶悪犯の罰し方も【自白】から【司法取引】へとチェンジさせた今作の出来栄えや如何に。
①…前作【The Closer】の主人公だった重大犯罪課の女ボス・ブレンダは、いつでも自分が中心に位置し、チーム全員に命令し、(ここからの説明が味噌⇒)状況に構わずいつでも自分が先陣斬って最前線に飛び込み、大騒ぎし、足引っ張る奴がいようものなら怒鳴りつけ、上司だろうが旦那だろうが親だろうが誰の助言も(ある程度しか)聞き入れず、それでも卓越した判断力と戦闘能力で事件を解決していたというまるで【源義経】もしくは【遠山の金さん】みたいな人物だった。
その手法に馴染んでしまったベテラン勢が、今まで内部情報局で自分らのアラ探ししていたシャロン・レイダー警部を受け入れるはずもなく、波乱の幕開け。
②…予想通り。いの一番で反抗し始めるのは男お局のプロベンザ。漫才コンビ的な相棒のフリンも追従。まあ彼らは叩き上げでのし上がったし、ブレンダの手法と実力に心酔してたのでやむを得ない。でも米国人は実力さえあれば認めるので、当シーズンでブレンダとは異質の実力と人間味を発揮したシャロンに対し時間を置かず友好的になります。でもこのコンビ、かつてはブレンダにも同じ事してたので人間的にはあまり進歩無いかも(笑)。
③…その【男お局】に命令されて混乱を余儀なくされる新人のサイクス。『利口と馬鹿が同居している』と当のプロベンザに毒づかれますが、元軍人なので行動は迅速。馬鹿じゃありません。あんたのせいだよプロベンザ(笑)
④…副本部長に昇格できたテイラー。【身分が人を作る】の格言通りに課のメンツと距離を置いて建前重視の堅物上司になった。しかし責任者はこれくらいで良いと思う。偉ぶりながら、女癖の悪さでロス市警ごと信頼失墜させかけた前任者のポープより遥かにましまし(笑)。
⑤…小利口に振舞うバズ。飄々としたドクター・モラレス。狂暴ぶりが健在なサンチェスは相変わらず(笑)。タオ警部補には過去の事件で精神的に受傷した少女と絡むエピソードがあり、さすが元医学生だと頷ける優しさを発揮してます。だまって医者になってたら似合ってたのに。もしくは教師でも良いかと。説明はくどくなるだろうけど(笑)
⑥…さてキーマンとしてメインキャストになったラスティ。重大犯罪課に保護されながらも身勝手な行動と嫌味な口調でメンバーから呆れられての幕開け。でも彼は一般人が想像を絶する程の苛烈で冷酷な状況で育ったので他者への接し方に支障ができてしまったのです。これからの成長が当ドラマの見所の一つ。
⑦…で、当ドラマの新主人公に抜擢され重大犯罪課の新ボスとなったシャロン・レイダー警部。前作では煙たいオバサン扱いだったけど警察官としての実力はメンバーが周知してる本物。さらに言えばこの人は前作のボス・ブレンダとは捜査方針だけでなく性格自体が正反対です。なぜならこのシャロン・レイダー。視点と思考と行動・言動の原理が全て【母親】としてのものだから。だからこそ、次第にチームの信頼を得るし、目の前で銃火器を振りかざす犯罪者に向かって微笑みを投げかける余裕と精神的強さを備えている。これからのラスティとの関係を軸にした物語は見所満載です。