1.シーズン1を奇跡的な傑作だとすると、このシーズン2は普通に面白いドラマ。充分に面白いものの、奇跡が二度は続かなかったようです。
内容はシーズン1とほぼ同じ。ヤクザ同士の抗争と、思いがけずその抗争に巻き込まれる一般人、そして地域の治安を守る保安官という3つの物語で構成されています。さらに、キツめのバイオレンスと、笑っていいのか悪いのか分からないタイミングで繰り出されるユーモアという味付けもシーズン1と共通しており、シーズン1を気に入った人に提供されるおかわりとしては適正な内容となっています。ちゃんと楽しめました。
ただし、一般人の物語を主・ヤクザの物語を副としたシーズン1とは対照的に、ヤクザの物語を主としている点が本シーズンの大きな特徴であり、この変更のために、やんごとなき事態に巻き込まれて抑え込まれていた本性が爆発する小市民というシーズン1における重要な要素が丸ごとなくなっています。
また、感情も人間として積み重ねてきた歴史もなく、単なる暴力のかたまりでしかない殺し屋・マルヴォという絶対悪がシーズン1の異様な空気に大きく貢献していたのですが、本シーズンのヤクザもの達には全員それなりの事情や背景があり、ちゃんと人間として描かれている点も、本作を平凡にする要因となっています。マルヴォに相当すると思われるハンジーにおいても、彼を強力な殺し屋に変貌させた背景がちゃんと説明されるために、その存在からは超越性や神秘性が失われています。さらには、UFOやロナルド・レーガンといった突飛なアイコンもうまく本筋と絡んでおらず、企画倒れに終わっている要素がいくつか見られました。
良かった点としては、シーズン1と繋がった世界観であり、何人かの登場人物はシーズン1と共通しているものの、本作単独でもまったく問題なく成立する内容であり、1年前に見たシーズン1の復習が必要なかったという点が挙げられます。最近は前シーズンの内容を細部まで覚えておかないと新しい情報を理解できないドラマが多く、好きなんだけど途中リタイアを余儀なくされる作品も出始めているため(「ゲーム・オブ・スローンズ」「ブラッドライン」)、1シーズンを一まとまりとした本作の作りには大変好感を持てました。