2.《ネタバレ》 哲学的で理屈っぽいSFがお好きでしたらハマると思いますが、それらに興味がない人でしたら苦痛かもしれません。ノーラン&JJ特有の「なんか小難しくて眠たくなる」系のドラマで、引き伸ばし感や中だるみ感は結構強めです。ホスト側が無益にループを繰り返していることを強調したいがあまり何度も同じ映像を見せたり、運営側とパーク内、更には過去の記憶を行き来することで服装や人物が頻繁に切り替わるのがとても混乱します。哲学的なセリフと相まって非常にテンポが悪く、全体的に流れが澱んでしまっています。(一話58分と若干長いのも余計に眠たくなる)
反面、ウィリアムの冒険活劇、黒服の男、ヘクター&アーミスティスのシーケンスはとても単純で俗っぽく、食いつき抜群です。終盤には黒服の男がまさかのアレだったという怒涛の展開が待っており、一気に伏線回収へ向かいます。ちなみにS2の8話も、実は先住民(アキチタ)がアレだった的な流れが素晴らしく、ラストに向けて一気に面白くなります。
ラストの気づきは素晴らしいです。機械の記憶は100%鮮明であり、そしてコピーを繰り返せば永遠の命があるということを私も忘れていました。哲学的、SF的、アンドロイド的には非常に奥深いドラマですので多少の矛盾に目をつぶればとても楽しめます。S2はホスト側の視点で話が進み、アクションシーンが多くなりますが哲学的なカラーは残っています。願わくば大人向けのまま引き延ばさずにシーズン3で綺麗に終わってほしいものです。(個人的には吹き替え版推奨)
【追記】
2021/9やっとシーズン3を見ました。結論から書くと個人的にはかなり良かったです。雰囲気もブレードランナー2049よりずっと良いしビジュアル的には現在最高レベルだと思われます。問題は脚本です。商業的に仕方ないとはいえ、せっかくS2で綺麗にまとまっていたものを無駄に広げてしまったという蛇足感はあったと思います。
S2でアキチタやメイヴの娘などヘブンに行ったモノたちのデータを探索不明な座標に送ったまでは脚本としてもよく出来ています。そのまま、外に出たいと願ったドロレス他数名(バーナード含)と黒服の男らの戦いの末、鍛冶場含めウエストワールドが崩壊する。で十分綺麗だったと思います。まだ先の話ですがS4-S5まで制作が決定しているようですが、このままいくと不安しかないですね。いい加減アメリカも引き延ばす方向でなく、「有終の美」の方向でドラマを完成させていただきたいものです。南無。(しかしS1は本当に素晴らしいです。嫌悪感しかなかった黒服の男が二度目の鑑賞時には共感しかありません。この辺の作り込みは本当に素晴らしいです)